ミイラ

ピラミッドのミイラ取りがミイラになって、そのミイラを取りに行った人もミイラになった。

なんだ、あいつもミイラになったのか。ずいぶんたくさんミイラがあるじゃないか、と喜び勇んででかけたミイラ取りもやはりミイラとなり、われこそはとチャレンジしたミイラ取りもまたミイラになった。

かくしてピラミッドはミイラでいっぱいになり、そのうちピラミッドの出入り口からはみだしてピラミッド全体を覆うような、うずだかく積み上げられたミイラの山が築かれた。

ぼくは「そんな危なっかしいところに行くなんて馬鹿げてる」といってスフィンクスの向かいにある某有名フライド・チキンチェーン店でこんがり揚がった鶏肉をほおばっている。

しかしミイラ取りは後を絶たずにどんどんミイラとなっていき、スフィンクスをも覆い隠し、フライド・チキンチェーン店をも飲み込んで、ぼくもいつの間にかミイラになっていた。

「なんだあいつは、鶏のミイラを手に持ちながらミイラになってやがる」

といってわらっていた人間も、いつの間にかミイラに飲み込まれてミイラになっている。

もはやミイラ取りだけがミイラになるのではない。最初に大挙したミイラ取りのせいで、ミイラを取るつもりのない人までミイラになってしまうのだ。

今やミイラの山はエジプトを越えて、イスラエル、サウジアラビア、ヨーロッパをも飲み込もうとしている。

ミイラは地中海をも埋め尽くし、かの有名なイタリアのロンバルド将軍の娘のミイラの上にまで覆いかぶさった。

サハラ砂漠がミイラ砂漠となり、シルクロードがミイラロードとなり、インドを飲み込み、チョモランマもなんのその、中国をわたり、モンゴルもミイラの山で埋め尽くされ、ロシアもすみずみまでミイラだらけになった。

さらに朝鮮半島から対馬を渡って日本も例外なくミイラの山にうずもれる。

ミイラはどこまでも広がっていく。日本海溝の底なしの海底をも埋め尽くし、巨大な陸地を形成しながら、アメリカへと向かう。

しかし安心したまえ。そのころにはもうとっくにアメリカは大西洋から向かってきたミイラの山で覆いつくされている。

台風がミイラを巻き込みながら発達していたが、それはまるでミイラをくるむ巨大な包帯のようだった。

とうとう地球全体をミイラが覆いつくし、雲を抜け、空を抜け、大気圏にまで達した。

ミイラはもはや、宇宙に進出しようとしているのだ。

国際宇宙ステーションからその様子を眺めていたクルーがつぶやいた。

「地球は白かった」

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コメント

  1. まめてん より:

    おもしろかったですー!!!\(^o^)/

  2. 田中 より:

    これ書いてる途中、ちょっとまめてんさんを意識するようなところがあったんですが、まさか反応いただけるとは(笑)
    ありがとうございます(^ω^)