性格の不一致

男「人との相性には、合う、合わんという問題が常につきまとうやろ」

女「そうやね」

男「食べ物の趣味しかり、衣服のセンスしかり、言葉の選び方ひとつでも性格の不一致を感じることはある」

女「そんなん、もうしょっちゅうやで。文句言いだしたらキリがない」

男「でも、そしたらなんでそれでも人間関係がうまいこといくんやろうか」

女「うまいこといくパターンばっかりちゃうやん」

男「そらそうや。でも、おおかたどこの家庭でも、問題を抱えながらどうにかやってるやろ。うまいこといかんところもあるけど、全体をみれば、うまいこといく家庭が多数派や。相性が完全に合うなんてことはありえへんやろうに、なんで総じてうまくいくんやろうか」

女「全体でみるとなると、ややこしいな」

男「程度の問題かな」

女「どれくらい合わへんかってこと?」

男「そう、どれくらい生理的に無理か、というような」

女「生理的に無理かどうか考え始めたら、もう無理やろ。もっとその手前の段階でいろんなことを許してるんちゃう?」

男「はあ、許してるのか」

女「誰かと一緒にいたいというときには、その誰かのアカンところを許してるんやで」

男「そんでも、そのうちアカンところが目立つようになることもあるやろ」

女「そう。いずれそうなるけど、そのときは相手のことをぶつくさぼやきながら、それでもしゃあない言うて、許してあげてるんやと思うで」

男「なるほどなあ。それで、どうしても許してやれんというところまでいくと、アカンようになるということか」

女「そうそう。浮気とか、お金の問題とか、暴力とか、崩れるときはたいがいそういう問題やろ」

男「はあ、確かにそうやなあ。ほしたら、自分の相性が合わんところなんかは、よそでぐちぐち言うとったら、それでガス抜きになるわけやな」

女「でもあんまり男の愚痴ちゅうのはええことないで。あんたしょっちゅう理屈っぽいこと言いながら、それとなくわかりづらい感じで人の批判してるやろ。態度悪いで?」

男「……」

女「わからん思ってやってるやろ。まるわかりやで? 人間はええところはなかなか見えへんけど、悪いところは見通しええねん」

男「ほなおれは悪いところばっかりかいな」

女「ええことひとつで、1点。でも悪いところはひとつで10点やで」

男「厳しいなあ!」

女「でもホンマにそうやねんで。ええこと10回やっても、悪いことを1回やったら帳消しや。ええことを9回やっても、悪いこと1回やったら、悪いことが勝つねん」

男「ほしたらなんで世の家庭はうまいこといくねんな。その理屈やったらどこの家庭もすぐ崩壊するがな」

女「だからいうてるやん。たいがいのことは、許してるねん」

男「はあ、なんや方便やなあ。許したら点数にならんのか?」

女「そんなわけないやんか。でも目の前でおならをするとか、その程度ならその場で怒って、点数に入れんこともできる」

男「ほしたらどういうことがアカンのや。屁のつもりでウンコが出てしまったら何点になるねん」

女「それは、点数以前の問題や。病院行ってみてもらったほうがええわ。あとはもう相手の名誉のために黙っといたる。貸しやな」

男「それはたとえが悪かったな。ほな、いちばんアカンのはなんなん?」

女「さっきも言うたけど、浮気、お金、暴力やん」

男「それは悪いほうに10点か」

女「10点やったらまだゆるいほうやな。ふつうは一発退場や」

男「そしたら、おれが理屈言いながら批判放り込むのは何点なんや?」

女「あれは6点くらいかな」

男「だいぶ悪いがな。それを取り戻そうと思ったら、7回はええことをせなあかんちゅうわけやな」

女「それくらいのバランスやと思ったほうがええ、ちゅうことやで。たとえ話やねんで。早い話が、そんなことせんほうがええ、って言うてるねん」

男「しかしそら、なにかしら思うところがあるから言うんやで?」

女「それやったら正面から言うたらええねん。ああ、なんかもしかしてわたしのことを言うてるのかなあ、と思ったときに、こっちが切り返しにくいやり方でネチネチやるのがアカンって言うてるんやんか」

男「ああ、そらそうや。それはホンマにアカンわ。たいへんわかりやすい。すみませんでした」

女「以後気を付けるように」

男「しかし、きみもけっこういろいろ言うほうやで。場合によっちゃ倍返しくらいやられてる気ぃすることもある。それに今きみが言うてたのは、ぼくへの批判やんか。悪いほうの点数入るで」

女「アホか。これは愛情や。悪いところを指摘することで、あんたがアカンことをしてると自覚してくれることを願っての、やむにやまれぬ愛のムチや。愛のムチは気持ちええはずや。ええほうの点数に入れんとアカン」

男「そんなアホな(笑)」

女「ほれみてみいな。これくらいのことやったらぶつくさ言うて、水に流したらしまいになるやろ。細かい性格の不一致があるくらい、どうにかなるやんか」

男「ああ、そうかもしれん。これくらいやったら許せるわ」

女「そうやろそうやろ(こいつ、理屈っぽいけどアホやな)」

男「なんや、なにをニヤニヤしてるんや」

女「なんでもない。寛容なのはええこっちゃ」

男「そうやな。なんやあっちみてもこっちみても人の悪口ばっかりやから、それがすべてのような気がして滅入ってたけど、世の中だいたいみんな寛容にうまいことやってる、っちゅうこっちゃな」

女「どこを向くかで、見える景色も変わるんやで」

男「ええほう向くようにせんといかんなあ!」

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